大ファンのサー・パトリック・スチュワートが大根役者に見えた衝撃のエピソード。でも、ストーリーは面白くなってきました。
※最初からネタバレなので、ご注意くださいませ。英語環境しかないので、印象が違うかもしれません。
再び過去の火星とJLとラフィ
先週衝撃を受けた火星のアンドロイドF8がハックされて暴挙にでる残酷なシーンからのスタートです。
当時、火星襲撃を受けて、人口生命体の利用・研究が全て凍結され、ロミュラン救出ミッションが大幅に縮小され、キャプテンピカードが辞職をかけて交渉するも、あっさり許可され、辞めることになってしまったことを当時のファーストオフィサーであるラフィに伝えます。
火星のアンドロイドの暴挙は、オペレーションシステムの致命的なコードエラーに由来しているとの事にされていますが、ラフィはロミュランの秘密情報部タルシアーが絡んでいると推測し、「彼らを救うための船を作っている基地を彼ら自身が破壊する理由が見当たらない」と、ラフィの言葉を信じられないピカードの様子が回想されます。
当時のスターフリートの半数がロミュランを助ける気がなく、残りはただただ恐怖におびえて、考えることをやめてしまった事を嘆いていました。
それを見た私は、スタートレックがスターフリートをディスる日が来るとは、時代に流されて(?)、スタートレックらしさを失ってしまった事を嘆くべきか…?
それでもロミュランを救出することを諦めず、「最後の最後に苦肉の策を打ち出して何とかするのがピカードでしょ?」と戦う姿勢を続けるラフィに、「『辞表』がその最後の苦肉の策だったんだよ。」と諦めてしまうピカード。みていて、ツライ。
ところで、ラフィはキャプテンピカードのことをJLと呼んでいました。Jean-Lukの頭文字ですから、ファーストネームベースの親しさで、特別な呼び方をしていることから親しさが伝わってきます。
ラフィのつらい15年とピカードの不義理
シーンは現代に戻り、ラフィのお宅で船を手配してほしいんだけどっと頼むピカードに、「ほんと、厚かましいわね。クランシーにもそう言われたでしょ?」っと怒りをあらわにします。
「次に秘密のミッションに行きたいときは、スターフリートのトップに計画のすべてをペラペラしゃべらない方がいいわよ。いつからそんなにおしゃべりになったのよ」
「インタビューも見たわよ。素敵なシャトーで、立派な柏の梁の邸宅に、代々伝わる調度品に…、我が家も見せてあげたいけど、ただの小屋だし、お恥ずかしいわね。」
っと、過去15年が恥と怒りに埋め尽くされていたことを語ります。
辞職した後、ラフィに連絡することもなく、ずっとフランスの実家に引きこもっていたっぽいです。
「私が優れたパイロットだからとか、スターフリートから除名されているから、もっと『元気?』みたいなそういう連絡が欲しかったわ。私の15年、悲惨だったから…」と立ち去るラフィ。
なんて不義理な事をしているんだ!ピカードさん。
流石に「格差」はアウトでは?
懐古厨のたわごとですが、オリジナルのスタートレックの世界には、争いも、差別も、貧困もなく、そもそも「お金」の概念もなく、誰も働かなくていいけど、社会貢献の為に労働奉仕をしているというスタンスだった気が…
世の中の醜いことは全て「異星」の話で、それはそれでどうかと思うのですが、私のように疲れた大人が、こういう呑気な人たちっていいよね…っと癒されがてら見ている番組だったのですが、世の中の醜いことが全て地球に戻ってきていて、ダメだこりゃって感じですな。
このユートピア的な世界観がなくなって、中途半端なメロドラマと中途半端な近未来政治サスペンスになった『スタートレック』に存在価値はあるのかな?
ユートピアに需要がないなら、全く新しいSFを作った方がマシな気がしますけどね。
ヒューだ!
『スタートレック:ピカード』は、過去作の登場人物と新登場人物のバランスがいいですね。
次に登場したヒューはTNGに出てきたボーグです。アンドロイドのデータの双子の兄のLore(ロー)との絡みもありましたね。ボーグは1つの集合意識に吸収された生身の生命体で、アンドロイドは完全な合成生命体ですから、この2つには直接の関連性はないのですが、過去のイベントでつながりが出来た感じでしょうか?
若くて美しかったヒューは、年を取っていい感じに渋くなっていました。
ヒューははじめてボーグ集合意識から離脱したボーグで、その後どのような経歴を経てボーグキューブにたどり着いたのか興味がありますね。
今回、ボーグを再生する際に母国語で優しい言葉をかけているソージをモニターでみて、興味を持つヒュー。「元ボーグに親切な人は少なく、所有物として利用するか、危険物として封印するか、ロミュランのようにその両方か…」とのことで、ここもなかなか険しい道をたどっているようですね。
前にも書いたかもしれませんが、華々しく終わったネクストジェネレーションのその後が多くのキャラにとって辛く険しい人生になってしまっていたことを知るにつれ、心が痛みます。
元ボーグに親切なソージは珍しく、ソージが常々興味を持っていたロミュラン人のラムダとの面会を許可します。
ラムダに興味を持った理由を聞かれ、ヒューにも手に届かない彼女の過去についての資料をソージが読んだことが分かり、「どうやって?」っと聞き返すヒューに、苦し紛れの回答をするソージですが、自分でもおかしいと思い始めます。
サッと切り替えて、ラムダがロミュランの神話に最も詳しい人物で、著書もあり、神話機構(?)に癒しの作用があるという証拠があるので、研究に役立てるために興味を持っていることを伝えます。
大根役者?
単純にラフィの名演に負けているだけかもしれませんが、ココからのピカードさんは、ラフィに比べて大根に見えて悲しかったです。
ラフィが苦しんでいる時に助けられなかったことをお詫びしながら、自分には見えないけど、ラフィに見えていることがあり、洞察力を頼りにしているとかなんとか言って、最終的にラフィが手配した船のパイロット、リオスの登場に繋がります。
ランスロットだ!
どっかで見たことがある顔だと思ったら、リオスは『マーリン』のランスロットの人でした。一人二役で、EMH(Emergency Medical Horogram)のリオスはイギリス英語で、パイロットのリオスはスペイン訛りがちょっと出るアメリカ英語って感じでしょうか。
性格も言葉遣いも全く違う二役をきれいに演じていて、これまたいい役者さんがついていますね。
リオスのスターシップを訪ね、「どうぞ、座って」っと言われたものの、キャプテンシートに座るのがためらわれたピカードさん。
一方、リオスさんはスターフリートに苦い思いを抱えていることが伺えるものの、船はぴっかぴか、きっちきちのスターフリート流に整備されていており、君は骨の髄までスターフリートだねっと、ピカードさんにニヤニヤ顔(?)で指摘されていました。
ところでこの方が自室で休んでいる時に再度EMHが「ジャン・ルーク・ピカード、Q連続界とのメインコンタクト、クリンゴン帝国の…」っと続けるのですが、3話連続ℚを匂わせる表現を使ってました。早く来ないかな。Q。
この一人二役のEMHとのやり取りから、リオスさんは、かつて船長をなくしたもしくは血みどろの大けがをするのを阻止できなかったトラウマがあるっぽいです。
リオスさんと並ぶと、ピカードさんがまたもや大根に見えてしまいました。
ラリスとジャバン強い…
旅立ちの前に襲撃を受けるピカード邸。ロミュランおばちゃんとおじちゃんが強くてビックリです。ディスカバリーのテラン皇帝(ミシェル・ヨー)レベルとは言えませんが、第一話の老人の手を引き謎の階段ダッシュさせるアクションよりもはるかに安心感がありました。
最後に「ドラマティック」に登場するアグネスジュラーティー博士。コモドール・オーが訪ねてきたので、全部喋っちゃったわ…っと告白します。
ピカードさんの旅にお供することにします。ディスカバリーのティリーに近い不器用でおどおどした、だけどやる時はやる系のキャラづくりみたいですが、ワンパターンですな。しかし、この方の場合は素でニコニコしている両家のお嬢さん風の様子がしっくりとしていて好感が持てます。
そしてまたもや、アグネスジュラーティー博士よりも大根役者に見えるピカードさんでありました。お年寄りって、こんなもん?
これまでのおじちゃんやおばちゃんは兎も角も、一緒に船に乗る3人に悉く演技負けして、この先大丈夫かしら、ピカードさん…
本日のソージ
ヒロイン(?)のソージは、ヒューと共にロミュラン神話の専門家「ラムダ」に会うため特別な部屋への入出を許可されます。この「ラムダ」の一行が、今いるボーグキューブを壊滅に陥れた最後のグループであることや、サブマトリックスを壊してしまった何かがあって、その原因を突き止めることがソージの目的だという事が分かります。涙を流しているラムダに質問する口調がどんどん尋問的になっていき、周りがざわつき、緊張感が走ります。
ラムダは、タロット占いのようなカードを見ながら、「あなたとは明日あったことがあるわ。あなたは死ぬ方の双子?生きる方の双子?、あなたは『破壊者』の方ね、全ての終わり、あなたが『破壊者』ね」っと、カードをめくるごとに取り乱し、セキュリティーから銃を奪い、自殺を図ろうとするのを非人間的なスピードで移動するソージに留められます。
ソージはお母さんに電話して、「ダージは無事?」と聞きますが、このお母さんは前回のお母さんとは違う人っぽい?
いずれにせよ電話の催眠作用で眠ってしまいます。後で彼氏でロミュランスパイのナレクに自分に何かおかしなことが起きていることをベラベラ話し、そして「キミに恋しているかも」なんて言葉に上手いことなだめられ、イチャイチャします。
その後、ソージの部屋を後にしたナレクは、ボーグキューブに移動して待ち伏せしていた姉(姉弟分?)のルテネント・リーゾと血がつながった姉弟の会話とは思えない謎のテンションでソージの様子を報告します。きもっ。
ようやく宇宙へ
最後に船に乗り込んだ、ピカード、ジュラーティ、ラフィ、リオスの一行は、ようやく宇宙へ飛び立ちます。過去作のスタートレックは、個性的だけどちゃんとした感じの優等生クルーがメインクルーでしたが、今回のメンバーは、クセと訳アリ感が前面に出ている最近のSF風ですね。
んで、最後の最後にキャプテンピカードの有名な決め言葉「Engage」が繰り出されます。水戸黄門でいう所の「この紋所が目に入らぬか?」です。個人的にはキャプテンの決め言葉の中では、キャプテンパイクの「Hit it.」が一番好きです。
兎も角も…
このクライマックスのBGMがオリジナルのTNGテーマの改悪版で、いろいろ台無しでした。
ファンサービスなのはわかるけど、BGMにクソわざとらしい主張をされてもねぇ…。過去作を見たことがない人には、アリだったのかな?
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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