スター・トレック (2009)、レビュー【後半ネタバレあり】

4.0

レンズフレア多すぎ!

スタートレックをぶっ壊したと中年トレッキーに嫌われているケルビンタイムJJトレックですが、個人的には第1作に関しては好きです。レンズフレア以外は。

基本情報

原題Star Trek
邦題スタートレック
タイプSF
公開日2009年5月8日
監督J・J・エイブラムス
脚本アレックス・カーツマン
ロベルト・オーチー
原作者アレックス・カーツマン
ロベルト・オーチー
おすすめ度4.0 (1~5点)

トレーラー

Star Trek – Trailer

あらすじ

突如あらわれたロミュランの巨大戦艦に壊滅的な打撃を受けたUSSケルビン号のクルーと妻子を救うため自己犠牲を払ったジョージ・カーク艦長。その息子、ジェームス・カークは、残念なイキリ野郎になっていたところを、エンタプライズ号のパイク艦長に拾われる。

ところが、カークのイキリメンタリティーは、容易には治らず、試験でチートして停学処分になり、惑星連邦の一大事に地球に取り残されそうになる。

脚本、世界観

オリジナルのスタートレックが現代的になって帰って来た!テレビシリーズよりも、映画シリーズの方の世界観を引き継いでおり、テレビシリーズの「お行儀のよい未来人」はおらず、荒廃した生々しい人間味たっぷりですが、代わりに古臭さがなくなって新鮮でした。

キャラクターアーク(登場人物の物語)がしっかりしているのに、ストーリーのテンポがいいです。心情描写とアクションのバランスもよくて、切ないけど楽しい作品です。

登場人物

イケメンカーク爆誕!クリス・パインかっこいい。オリジナルシリーズのカーク艦長もテレビシリーズの時はイケメンキャラだったんですけれど、映画シリーズでは「老人」でしたから、すごく新鮮です。

スポックも二回りぐらいイケメンになっていましたし、ボーンズ (ドクター・マッコイ)がガチムチ系になっていたのは驚きました。骨と皮のように痩せているから「ボーンズ」ってあだ名なのかと思いきや、破産して骨しか残っていないって意味だったんですね…

それ以外のキャストも粒揃い!キャストのすばらしさだけで何千字も描けそう。

アクション、笑い

SF映画なのか、アクション映画か分からないほどアクション満載。

映像美

映像は最高級!2009年の作品ですが10年以上経った今でも圧巻の美しさです。但し、エフェクトの為に使っているソーラーフレアが多すぎて少々邪魔くさく感じます。

音楽

音楽は、新しいJJトレックのテーマ曲と伝統的なスタートレックの楽曲を両方使いながらもどちらも現代風にアレンジされていて、好感。ジェームス・タイベリアス・カーク誕生のBGMなんて、映像と音楽のミスマッチが芸術的!

以降、「感想」と「最後に」は、ネタバレ注意です。問題なければ続きをどうぞ。

感想

本作は、カーク艦長の父ジョージ・カーク艦長がUSSケルビンと共に殉職したことでタイムラインが分岐した、スター・トレックの正史とは異なった「ケルビン」歴という設定ですが、エンタプライズ号のメインクルーは全員同じメンバーです。キャラが以前より大幅に尖っていて嫌いな人もいるみたいですが、素晴らしい役者を揃えていて大満足。

まず『マイティー・ソー』のソー役のクリス・ヘムズワースが素晴らしい。巨大なロミュラン戦艦から壊滅的な打撃を受けても、クルーと命を救うために殉職してしまい、出番が少なくとても残念。

痛すぎるイキリ野郎にすくすく育ったジム・カークとのギャップが大きくて、ガッカリ感がスゴイ。

バーで喧嘩したことがきっかけで、パイク艦長に仕官を薦められ、その気になるカーク。このキャプテン・カークは、実はスター・トレックの最初の最初、オリジナルシリーズのパイロット版で早期リタイアしようか悩んでたトレック史において重要な人物です。ベテラン俳優、ブルース・グリーンウッドが素敵な演技をしていました。ちなみにボロクソ叩かれていたディストピアトレックの『Discovery』のアンソン・マウント演じるパイク艦長も素敵です。

拾われたにも関わらず、留まるところを知らないイキリ野郎のカークは、小林丸テストでチートして、停学処分。バルカン星から出された救援に答え、出動する仲間から取り残される。

ここで、個人的なお気に入りオリジナルキャラのボーンズことマッコイ医師が、カークをわざと病気にしてエンタプライズ船内に連れ込みます。このボーンズ役のカール・アーバンも名優です。『ボーン・スプレマシー』のキリルの役が印象的でした。

ここで、スタートレック恒例のスペースドッグ&スターフリートの鑑賞会。いつもは長ったらしくてだるいのですが、本作のスペースドッグとフリートは圧巻。見とれましたw

一通り、新しいエンタプライズ号の世界観を堪能した後は、カークが異変の正体は自分の父親が殉職したのと同じロミュラン戦艦だと察し、ブリッジに乗り込み説得します。ようやくカークがカークらしい活躍の場面を与えられました。これだけ鼻もちならない演技を続けてきたクリスに同情してホッとしました。

オリジナルシリーズのカーク役のウィリアム・シャトナーは、かっこいい台詞を他の俳優から取り上げて、自分の台詞に変えてたイヤなヤツで、嫌われていたそうですが、そのおかげでキャプテンカークはかっこいい人だったんですよね。

ここでまたもや脱線ですが、スタートレックのキャプテンは、それぞれ出発時の決め文句があります。『Discovery』のパイク艦長は「Hit it」でかっこよかったんですが、本作のパイク艦長は「Punch it」でした。うん。どちらもいいキャラだわ。

兎も角も、バルカン領域に乗り込んだエンタプライズ号はカークが予想した通りの惨状を目の当たりにします。ロミュラン戦艦のネロ船長は、最後に乗り込んできたスターシップがスポックのエンタプライズ号だと気づき、攻撃をやめ、通信を開始。スポックに見せたいものがあるという謎めいた言葉と共に、パイク艦長を自分の船に呼び出します。

罠と分かっていながらもロミュラン戦艦へ行くためにシャトルに乗り込むパイクに、ドリルを止めるミッションを任されたカーク、スールー、オルソン。そして、謎のイキリっぷりを発揮してドリル破壊装置を道連れに自滅するオルソン。微妙。

ここで武器・バトルマニアのスールーの登場、未来の日本刀で剣術を披露。スールー役のジョン・チョーさんは韓国人らしいですが、ちょいちょい印象的役をこなしてますね。個人的なおススメは『トータル・リコール』の施術師の役かな。

そして待望の(?)スポック出動。スポックは、船をチェコフに任せて、両親やバルカン元老を助けるためにバルカンに降り立ちますが、あと一歩のところで母親を救出できませんでした。

スポックはオリジナルシリーズでは一番人気のキャラ。本作でもオリジナルのレナード・ニモイが老スポック出てますね。バルカン人と地球人のハーフで、最初の方で子供の頃いじめられるシーンにもありましたが、論理を重んじるバルカン人として生きるため、感情を制御する訓練を受けています。このため母親を亡くしても動じたそぶりを見せません。

そんなスポックを慰めたいウフーラ。ウフーラ?、オリジナルシリーズでは、ナースのチャペルがスポックに心を寄せる場面がありましたが、ウフーラは映画シリーズの最後で突然スコッティ―好き好き光線を送っていました。ケルビンタイムラインでは、ウフーラとスポックが恋人同士なんですね。ちなみにこれまでウフーラにはファーストネームがなかったので、カークがしつこく聞いている間、注目してました。

ウフーラの役者さんゾーイ・サルダナさんは、『ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー』のガモーラの役で有名ですね。

そしてバルカン星の消滅。スター・トレックのイヤなところは、クリンゴンのホームワールド、バルカンのホームワールド、ロミュランのホームワールドと次々に主要な宇宙人のホームワールドが壊滅、または壊滅の危機に追いやられるところです。なのに地球はニアミスで救われるのがなんだかモヤっとします。

一見、ロミュランの独自勢力がバルカンを破壊した様に見えるのですが、ネロ艦長目線では、未来に起こるロミュラン星の壊滅を見過ごした惑星連邦、スポック大使に復習し、未来のロミュランを救うために、現在の惑星連邦の星々を破壊し尽くすつもりだという事が明らかになります。

ここからうっとおしいカークとスポックの大げんか。地球救出のために今すぐ行動すべきだというカークと一旦他の艦隊と落ち合って態勢を立て直すべきだというスポック。結局、暴れだしたカークをバルカンピンチで制圧し、デルタヴェガにポイ捨てします。

デルタヴェガで未来から来た老スポックに出会い、マインドメルドで老スポックのビジョンを彼の心の痛みと共に共有されます。そしてネロがブラックホールを起こし得るほどの破壊力を持ったレッドマターを保持していることが分かります。

最寄りのスターベースへ移動する方法を探していたところ、なんと最後のオリジナルシリーズ主要クルーであるスコッティ―に出会います。トランスワープ理論の実験にアーチャー提督のペットを使ったことで左遷された模様。『エンタプライズ』のアーチャー艦長は、犬好きの恥。ポルトス(犬の名前)は、より素晴らしいオーナーの元に転送されたと祈ります。

スコッティ―役のサイモン・ペッグは、自身もSFオタクで、SF映画の制作にも携わっています。JJトレックの3作目の脚本も手掛けています。脇役の場合は手堅いコメディー担当で、ミッション・インポッシブルのベンジー役などハマり役でした。

老スポックは、スコッティ―に知恵を授けて、スコッティ―とエンタプライズ号にワープします。老スポックのアドバイスに従い、若スポックから艦長の座を奪い取り、スポックと共に敵船ナラダに乗り込み、パイク艦長と地球を救済して、めでたし、めでたし。

今回、触れ忘れたメインキャラ、チェコフ役のアントン・イェルチンは、とても人柄もいい役者さんだったようですが、2016年に27才の若さで他界しました。心より冥福をお祈りいたします。

最後に

この作品は、スター・トレックの核になるユートピア的世界観を壊したとの事で、沢山のアンチがついています。ケルビン史と正史は明確に分けて語られるようになっているのですが、最近、正史の映画版10作を鑑賞したのですが、結構ダークでした。

ユートピア的世界観は、映画版で既に壊滅していたように見えました。

兎も角も、ケルビン史として独立したスタートレックとしてみれば、現代風のSFアクションとしては一級作品だと思えるので、☆4つです。

☆が1つ減っている理由は、老スポックがカークに見せたビジョンとストーリーに食い違いが発生している事です。超新星爆発を起こしたロミュランの太陽に慌ててレッドマターを打ち込んで、ブラックホールに飲み込まれたスポック。ネロがパイクに説明した話では、ネラダ号は元々戦艦ではなくて、シンプルな鉱作船だったとのことなので、タイムトラベルしたロミュラン船の戦闘能力は低かったハズ。2233年にUSSケルビンが遭遇した船があんなに強いわけ、なくない?

25年間老スポックを待ち構えていて、スポックがタイムワープ瞬間(2258年)に捉えてレッドマターを手に入れて、直ぐにバルカンを攻撃。この25年間に準備を整えていたんだから、やっぱりUSSケルビンが出会った船があんなに強いわけないよね…

それと、これは他の人たちもギャーギャー言ってたけど、ネロはスポックにバルカン星が破壊される様子を見せるためにデルタヴェガに落としたって話だったんですが、デルタヴェガから見たバルカン星が巨大すぎる事。地球から見た月よりもはるかに大きいじゃないですか?

でも、バルカン星には衛星はないんですよね…

創作のテクノバブル(技術的なウンチク)は、その世界の人が適当に作ればいいですけど、一級作品なのにあまりにも基本的なところでこけられると、ちょっとね。

でもすごくいい作品でしたよ。

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